植物を育てる上で知っておきたい『生理障害』

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植物を育てる上で知っておきたい『生理障害』

ガーデニング勉強中

先生、「生理障害」ってどういう意味ですか?

ガーデニング専門家

良い質問だね。「生理障害」は、植物の体の中で起こる、いわば“病気”のようなものなんだ。人間で例えると、栄養が偏って病気になってしまうことと似ているよ。

ガーデニング勉強中

栄養が偏ることと関係があるんですか?

ガーデニング専門家

その通り!植物も、土から必要な栄養を吸収して育つんだけど、特定の栄養が多すぎたり、少なすぎたりすると、うまく育たなくなってしまって、「生理障害」を起こすんだ。例えば、トマトだとカルシウムが足りないと、お尻が腐ってしまうんだよ。

生理障害とは。

「生理障害」とは、植物の生育に悪い影響が出ることをいいます。これは、根から栄養を十分に吸収できなかったり、栄養が足りなかったり、逆に多すぎたりすることが原因で起こります。例えば、トマトの実のお尻が腐ってしまうのはカルシウム不足、ハクサイの芯や縁が腐ってしまうのもカルシウム不足が原因です。トマトの葉っぱの下の方が黄色くなってしまうのはマグネシウム不足、ホウ素が足りないと、これもまた植物の生育に悪影響が出ます。

生理障害とは

生理障害とは

– 生理障害とは

家庭菜園で野菜や花を育てていると、害虫や病気の被害以外に、一見原因が分からず生育が悪くなったり、果実の形が変わってしまったりする現象に遭遇することがあります。このような現象の中には、植物の体内で起こる生理的な原因によって引き起こされる「生理障害」と呼ばれるものがあります。

植物も私たち人間と同じように、健康に育つためには、水や太陽の光だけでなく、窒素やリン酸、カリウムなどの養分をバランス良く吸収する必要があります。しかし、土壌の状態や栽培環境によっては、植物がこれらの養分をうまく吸収できなくなることがあります。例えば、土壌中の水分が過剰になると根が酸素不足を起こし、養分の吸収が阻害されます。反対に、乾燥が続くと、根が傷み、やはり養分を吸収することが難しくなります。

また、特定の養分が不足したり、過剰になったりすることも、植物の生育に悪影響を与えます。例えば、窒素が不足すると葉の色が薄くなったり、生育が遅れたりします。一方、窒素肥料を与えすぎると、植物は軟弱に育ち、病害虫に侵されやすくなってしまいます。

このように、生理障害は、根が養分をうまく吸収できない状態や、特定の養分の不足、あるいは過剰によって引き起こされます。生理障害は、その症状も原因もさまざまです。日頃から植物をよく観察し、早期に異変に気づくことが大切です。

原因 症状 詳細
水分過多 根の酸素不足による養分吸収阻害 土壌中の水分が多すぎると、根が酸素を十分に吸収できなくなり、養分の吸収が阻害されます。
乾燥 根の損傷による養分吸収阻害 土壌が乾燥しすぎると、根が傷ついてしまい、養分の吸収が困難になります。
窒素不足 葉の色が薄い、生育不良 窒素が不足すると、葉緑素の生成が阻害され、葉の色が薄くなります。また、植物の生育に必要なタンパク質の合成も不足するため、生育が遅れます。
窒素過剰 軟弱な生育、病害虫への抵抗力の低下 窒素肥料を与えすぎると、植物は茎や葉が徒長し、軟弱な生育になります。また、病害虫に侵されやすくなることもあります。

カルシウム欠乏が引き起こす問題

カルシウム欠乏が引き起こす問題

植物の生育に欠かせない栄養素は数多くありますが、中でもカルシウムは、丈夫な体を作るために重要な役割を担っています。カルシウムが不足すると、植物の細胞壁が弱くなり、様々な生育不良を引き起こす原因となります。
特に、トマト、ピーマン、ナスなどの果菜類では、カルシウム不足による生理障害が目立ちます。代表的な例として、トマトの果実の先端が黒く腐敗する『尻腐れ症』が挙げられます。これは、果実が成長する過程で、カルシウムが十分に供給されないために、細胞が壊れやすくなり、腐敗しやすくなることが原因です。
また、ハクサイでは、芯が腐る『芯腐れ症』や、葉の縁が枯れる『縁腐れ症』なども、カルシウム不足が原因で起こることがあります。これらの症状は、植物の生育段階や環境条件によって異なりますが、いずれもカルシウム不足が根底にあることを認識しておく必要があります。
カルシウムは、土壌中の移動が遅い栄養素であるため、一度不足すると、植物に吸収されにくく、症状が進行しやすくなります。そのため、日頃から土壌の状態に気を配り、カルシウムを含む肥料を適切に施すなど、不足しないように対策することが大切です。

栄養素 役割 不足時の症状 対象植物
カルシウム 丈夫な体を作る – 尻腐れ症
– 芯腐れ症
– 縁腐れ症
– トマト
– ピーマン
– ナス
– ハクサイなど

マグネシウム欠乏の影響

マグネシウム欠乏の影響

– マグネシウム欠乏の影響

植物が健やかに育つためには、太陽の光を浴びて栄養を作り出す光合成が欠かせません。この光合成において、マグネシウムは重要な役割を担っています。マグネシウムは、植物の葉に含まれる緑色の色素である葉緑素の構成成分の一つであり、葉緑素が光を吸収するのを助ける働きをしています。

しかし、土壌中にマグネシウムが不足していると、植物は十分な量のマグネシウムを吸収することができません。その結果、葉緑素がうまく作られなくなり、葉の色が薄くなる、または黄色く変色する「クロロシス」という症状が現れます。

特に、トマトでは古い葉から黄色くなっていくのが特徴です。これは、植物は新しい葉を成長させるために、古い葉に蓄えられていたマグネシウムを移動させるためです。

マグネシウム欠乏は、土壌中のマグネシウムが少ない場合だけでなく、カリウム肥料が多すぎる場合にも起こりやすいため注意が必要です。これは、カリウムが土壌中のマグネシウムの吸収を阻害してしまうためです。

マグネシウム欠乏を防ぐためには、土壌にマグネシウムを補給する必要があります。苦土石灰や有機肥料などを施すことで、土壌中のマグネシウムを増やすことができます。また、カリウム肥料の与えすぎにも注意し、バランスの取れた施肥を心がけましょう。

マグネシウムの役割 マグネシウム欠乏の影響 原因 対策
葉緑素の構成成分
葉緑素が光を吸収するのを助ける
葉緑素不足によるクロロシス(葉の黄変)
古い葉から黄色くなる(トマトの特徴)
土壌中のマグネシウム不足
カリウム肥料過多によるマグネシウム吸収阻害
苦土石灰や有機肥料の施用
バランスの取れた施肥

ホウ素欠乏とその対策

ホウ素欠乏とその対策

– ホウ素欠乏とその対策植物が健壮に育つためには、窒素やリン酸、カリウムなどの主要な栄養素だけでなく、微量要素と呼ばれる栄養素も必要です。ホウ素は、植物の生育に欠かせない微量要素の一つであり、細胞分裂や成長、開花、結実などに深く関わっています。ホウ素が不足すると、植物は様々な生育不良を起こします。例えば、茎の先端部分が枯れてしまったり、葉が黄色くなってしまったりすることがあります。また、果実への影響も大きく、果実の肥大が抑制されたり、形が悪くなってしまったりすることがあります。ホウ素は植物体内を移動しにくい栄養素であるため、新しい葉や茎、果実など、成長の活発な部分に症状が現れやすいのが特徴です。ホウ素欠乏は、土壌中のホウ素含有量がもともと少ない場合だけでなく、土壌のpHが極端に高かったり、乾燥条件が続いたりした場合にも発生しやすくなります。これは、土壌pHの影響で植物がホウ素を吸収しにくくなったり、乾燥によって土壌中のホウ素の移動が制限されたりするためです。ホウ素欠乏を防ぐためには、土壌診断を行い、土壌のpHやホウ素含有量を把握することが重要です。もし、土壌pHが高い場合は、酸性資材を施用してpHを調整する必要があります。また、ホウ素含有量の不足が認められる場合は、ホウ素を含む肥料を施用すると効果的です。ただし、ホウ素は過剰に施用すると植物に害が生じるため、施用量には注意が必要です。さらに、適切な水やりを行うこともホウ素欠乏の予防に繋がります。土壌水分が不足すると、土壌中のホウ素の移動が制限され、植物がホウ素を吸収しにくくなるためです。土壌の状態をよく観察し、植物に水が不足しないように注意深く管理しましょう。ホウ素欠乏は、適切な対策を施すことで予防できる生育不良です。日頃から植物の観察を行い、生育状況に注意を払い、必要に応じて土壌診断や施肥、水やりなどの対策を講じるようにしましょう。

ホウ素欠乏の症状 原因 対策
茎の先端部分が枯れる
葉が黄色くなる
果実の肥大抑制
果実の奇形
土壌中のホウ素含有量が少ない
土壌pHが高い
乾燥条件
酸性資材の施用
ホウ素を含む肥料の施用
適切な水やり

生理障害への対策

生理障害への対策

– 生理障害への対策生理障害は、植物の生育に悪影響を及ぼすだけでなく、一度発生してしまうと回復が難しい場合もあり、 gardenersにとっても悩みの種です。だからこそ、日頃から原因を理解し、適切な対策を講じておくことが重要となります。植物の生育には、適切な土壌環境が欠かせません。まず、土壌診断を行い、窒素、リン酸、カリウムなどの植物の生育に必要な養分が十分に含まれているかを確認しましょう。もし不足している場合は、植物の種類や生育段階に合わせた適切な肥料を選び、適量を施すことが大切です。ただし、過剰な施肥は、土壌環境を悪化させ、逆に生理障害を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。肥料を与える時期や量、方法をしっかりと見極め、植物に負担をかけないよう心がけましょう。また、水はけのよい土壌作りも、生理障害の予防に繋がります。水はけが悪いと、土壌中の酸素が不足し、根の生育が阻害されてしまいます。その結果、植物は必要な養分を吸収することができなくなり、生育不良や生理障害を引き起こしやすくなります。土壌改良材などを活用し、水はけを改善することで、植物が健全に育つ環境を整えましょう。さらに、適切な水管理も重要です。植物が必要とする水の量は、種類や生育段階、季節によって異なります。水のやりすぎは根腐れの原因となり、逆に水不足は植物の生育を阻害します。植物の状態をよく観察し、土壌の湿度をこまめに確認しながら、適切な量の水を与えるように心がけましょう。生理障害は、早期発見、早期対応が重要です。日頃から植物をよく観察し、生育状況の変化に気を配りましょう。そして、もし生理障害の兆候が見られた場合は、原因を特定し、適切な対策を迅速に講じるようにしてください。

生理障害対策 詳細
土壌診断 窒素、リン酸、カリウムなどの栄養分の過不足を確認し、植物に合った肥料を適量施す。過剰な施肥は逆効果となるため注意が必要。
水はけのよい土壌作り 水はけが悪いと根の生育が阻害され、養分吸収が困難になるため、土壌改良材などを活用し改善する。
適切な水管理 植物の種類や生育段階、季節に合わせて適切な量の水やりを行う。水のやりすぎは根腐れ、水不足は生育阻害に繋がるため注意が必要。
早期発見・早期対応 日頃から植物をよく観察し、生育状況の変化に気を配り、生理障害の兆候が見られた場合は、原因を特定し適切な対策を迅速に行う。
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