植物の栄養輸送を支える師管

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植物の栄養輸送を支える師管

ガーデニング勉強中

先生、「師管」って、植物の中の水の通り道のことですよね?

ガーデニング専門家

いいところに気が付きましたね!でも、ちょっと違うんだ。「師管」は水の通り道ではなく、葉っぱで作られた栄養分が通る道のことなんですよ。

ガーデニング勉強中

えーっと、じゃあ、水の通り道は別にあるんですか?

ガーデニング専門家

そうなんです。水の通り道は「道管」といって、「師管」とは別の管になっています。植物は、「師管」と「道管」、二つの管を使って、水と栄養分を体全体に送っているんですよ。

師管とは。

園芸で使う「師管」という言葉は、植物の中に網の目のように張り巡らされた栄養の通り道のことで、特に葉っぱで作られた栄養を植物全体に届ける役割を持つ管を指します。

師管とは

師管とは

– 師管とは植物は、太陽の光を浴びて自ら栄養を作り出すことができます。 この栄養は、主に葉で作られ、植物全体に届けられます。 この大切な栄養を運ぶ役割を担っているのが「師管」です。師管は、植物の体の中を網目のように縦横無尽に走る「維管束」という組織の一部です。 維管束は、植物にとって、人間でいう血管のようなもので、水や栄養を運ぶための重要な役割を担っています。 師管の中を流れるのは、光合成によって葉で作られた糖などの有機養分を多く含んだ液体で、「師管液」と呼ばれています。 師管液は、植物全体に行き渡るように、葉などの光合成を行う器官から、根や茎、果実など、成長に必要な部分へと運ばれていきます。 このように、師管は、植物が生きていくために必要な栄養を運ぶ、いわば「植物のライフライン」といえるでしょう。

項目 詳細
師管の役割 葉で作った栄養を植物全体に運ぶ
師管の特徴 植物の体の中を網目のように縦横無尽に走る「維管束」の一部
師管の中を流れる液体を「師管液」と呼ぶ
師管液は、糖などの有機養分を多く含む
師管液の動き 葉などの光合成を行う器官から、根や茎、果実など、成長に必要な部分へと運ばれる

師管の構造

師管の構造

– 師管の構造植物は、光合成によって自ら養分を作り出し、それを必要な場所に届けます。その養分の輸送路となるのが師管です。師管は、篩管要素伴細胞という二種類の細胞から構成されています。篩管要素は、上下に長く連なった筒状の細胞です。細胞壁は薄いものの、植物体を支える役割も担っています。篩管要素の特徴は、細胞壁の一部に篩板と呼ばれる多数の穴が開いていることです。この篩板を通して、光合成で作られた糖などの養分が、濃度の高いところから低いところへと輸送されます。篩管要素は、成熟すると細胞核や液胞などの細胞小器官を失い、細胞としての活動をほとんど停止します。伴細胞は、篩管要素に密着している小さな細胞です。伴細胞は、細胞核やミトコンドリアなどの細胞小器官を豊富に持ち、活発に活動しています。伴細胞は、篩管要素の活動をサポートする役割を担っており、エネルギー供給や物質の出し入れなどを行っています。このように、師管は、特殊な構造を持つ篩管要素と伴細胞の共同作業によって、植物全体に効率よく養分を供給しています。

細胞の種類 特徴 役割
篩管要素
  • 上下に長く連なった筒状の細胞
  • 細胞壁は薄い
  • 細胞壁の一部に篩板と呼ばれる多数の穴が開いている
  • 成熟すると細胞核や液胞などの細胞小器官を失い、細胞としての活動をほとんど停止する
  • 篩板を通して、光合成で作られた糖などの養分を濃度の高いところから低いところへと輸送する
  • 植物体を支える
伴細胞
  • 篩管要素に密着している小さな細胞
  • 細胞核やミトコンドリアなどの細胞小器官を豊富に持ち、活発に活動している
篩管要素の活動をサポートする

  • エネルギー供給
  • 物質の出し入れ

葉から根へ、そして成長点へ

葉から根へ、そして成長点へ

植物は、太陽の光を浴びて自ら栄養を作り出すことができる素晴らしい生き物です。その栄養を作り出す工場となるのが「葉」です。葉では、太陽の光を利用して、空気中の二酸化炭素と水から、植物の栄養となる糖が作られます。この糖は「光合成産物」と呼ばれ、植物にとって、人間でいう食事と同じくらい大切なものです。

しかし、栄養は作られる場所だけで使われるわけではありません。根や茎、花、果実など、植物のあらゆる部分は成長するために栄養が必要です。そこで活躍するのが「師管」と呼ばれる器官です。師管は、葉で作られた光合成産物を植物全体に届けるための、いわば栄養補給路の役割を果たしています。

根は、土壌から水分や養分を吸収する大切な器官ですが、光合成を行うことができません。そのため、葉で作られた光合成産物に大きく依存しています。師管を通して運ばれてきた光合成産物は、根の成長を促し、より多くの水分や養分を吸収できるようにします。

また、植物の先端にある成長点は、常に新しい細胞を作り出し、植物の成長を支えています。成長点も光合成を行わないため、師管を通して運ばれてくる光合成産物が欠かせません。このように、葉で作られた光合成産物は、師管によって植物全体に行き渡り、根や成長点を含むあらゆる部分の成長を支えているのです。

植物の器官 役割 光合成産物との関係
太陽の光を利用して、光合成を行い、植物の栄養となる糖(光合成産物)を作る。 光合成産物を生産する。
師管 葉で作られた光合成産物を植物全体に届ける。 栄養補給路として機能する。
土壌から水分や養分を吸収する。 光合成産物を受け取り、成長に利用する。
成長点 新しい細胞を作り出し、植物の成長を支える。 光合成産物を受け取り、成長に利用する。

師管の流れ

師管の流れ

植物が光合成によって葉で作った糖は、師管と呼ばれる管を通って、根や茎、果実など植物全体に届けられます。この糖の移動は、まるで水が流れるように、濃度の差によって生じる圧力によって起こります。

葉で盛んに光合成が行われると、師管には糖がどんどん送り込まれます。すると、師管内の糖の濃度が高くなり、周りの水を引き寄せます。水は濃度の低いところから高いところへと移動する性質があるためです。こうして師管内に水が流れ込むことで、師管内の圧力が高まり、糖を含む液は押し出されるようにして移動していきます。

この糖の流れは、ソースと呼ばれる養分の供給源である葉から、シンクと呼ばれる養分の消費場所や貯蔵場所である根や茎、果実などへと向かいます。このような関係は、ソース・シンク関係と呼ばれ、植物全体の成長や生存に欠かせないものです。

植物は、まるで精巧なポンプシステムを持っているかのように、師管内の圧力を巧みに調節することで、必要な場所に必要な量の養分を送り届けているのです。

用語 説明
師管 葉で作った糖を植物全体に運ぶ管
ソース 養分の供給源(葉など)
シンク 養分の消費・貯蔵場所(根、茎、果実など)
糖の移動 濃度差によって生じる圧力によって、ソースからシンクへ移動

師管の重要性

師管の重要性

植物は、太陽の光を浴びて自ら栄養を作り出すことができる、生き生きとした存在です。
光合成によって葉で作られた栄養は、師管と呼ばれる管を通って、根や茎、花、果実など、植物全体に行き渡ります。
まるで、植物の体の中を流れる栄養を運ぶ血管のような役割を担っています。

もし、この師管の働きが何らかの原因で阻害されてしまうと、どうなるでしょうか?
栄養を必要とする植物の各部位に、十分な栄養が行き渡らなくなってしまいます。
その結果、植物は健全な成長を続けることができなくなり、成長の遅延や、最悪の場合枯死に至る可能性も出てきます。

例えば、果樹を育てている場合、師管の働きが弱まると、果実が十分に大きくならなかったり、甘みが足りなかったりする原因となります。
また、花を咲かせる植物であれば、花の色が薄くなったり、花の数が減ったりする可能性もあります。

このように、師管は植物の生存と成長に欠かせない重要な役割を担っています。
植物を健全に育てるためには、師管の働きを理解し、その働きを助けるような栽培方法を心がけることが大切です。

植物の部位 師管の働きが阻害された場合の影響
植物全体 健全な成長の阻害、成長の遅延、枯死の可能性
果実 十分に大きくならない、甘みが足りない
色の薄化、数の減少
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