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植物の成長を支える「成長点」
植物が力強く芽を伸ばし、根を地中深くに広げていく様子は、生命の力強さを感じさせてくれます。この成長を支えているのが「成長点」と呼ばれる部分です。成長点は、植物の体の中でも特に活発に細胞分裂が行われている場所で、植物の成長をコントロールする司令塔のような役割を担っています。 成長点は、茎の先端にある「頂芽」と根の先端にある「根端」に存在します。顕微鏡で覗くと、これらの部分では細胞が活発に分裂を繰り返している様子を観察することができます。成長点は、まるで植物の成長を促す小さなエンジンと言えるでしょう。 成長点では、細胞分裂によって新しい細胞が次々と作られます。これらの新しい細胞は、やがて葉や茎、根などの器官へと分化していきます。成長点は、植物が環境に合わせて適切な形に成長していくために欠かせない重要な部分なのです。 -
茎頂培養:植物のスーパーテクノロジー
- 茎頂培養とは植物の先端にある成長点、「茎頂」を切り取り、栄養豊富な培地で培養することで、植物を増殖させる技術を茎頂培養といいます。 これはまるで植物の細胞からクローンを作るようなもので、現代の植物科学において欠かせない技術となっています。茎頂には、細胞分裂が活発な未分化な細胞が集まっており、様々な組織や器官を作り出す能力を秘めています。 この未分化な細胞の塊を「メリステム」と呼びます。 茎頂培養では、このメリステムを含む茎頂部分を、無菌状態を保った特殊な環境下で培養します。 培地には、植物の成長に必要な栄養分やホルモンが豊富に含まれており、メリステムはこの栄養を吸収して細胞分裂を繰り返し、やがて新しい植物体へと成長していきます。 茎頂培養は、従来の挿し木や株分けといった栄養繁殖法と比べて、多くの利点があります。 例えば、ウイルスフリーな苗を大量に生産できることや、成長が早く、形質の揃った植物を得やすいことなどが挙げられます。 また、種子で増殖が難しい植物や、希少な品種の保存にも役立ちます。 このように、茎頂培養は、農業、園芸、植物科学の分野において、欠かせない技術として広く利用されています。
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