植物の再生の鍵!再分化とは?
- 植物の分化と脱分化植物は、小さな種子から芽生え、大きく成長し、花を咲かせ実を付けるという、驚くべき一生を送ります。この過程で、植物は様々な形や働きを持った細胞を作り出していきます。種子の中に小さく畳まれていた状態から、光合成を行う葉、土壌から水を吸い上げる根、体を支える茎など、それぞれの役割に特化した細胞へと変化していきます。このような、ある特定の形や働きを持つ細胞へと変化することを「分化」と呼びます。植物の細胞は、分化することでそれぞれの役割に適した形や働きを獲得し、植物全体が効率よく成長し子孫を残せるように貢献しているのです。例えば、葉の細胞には葉緑体が豊富に含まれており、光合成を効率的に行えるようになっています。一方、植物の細胞には、動物細胞には見られない、驚くべき能力が秘められています。それは、一度分化した後でも、再び細胞分裂が活発な状態に戻り、様々な細胞に分化できる能力を持つことです。この、分化した状態から未分化の状態に戻ることを「脱分化」と呼びます。脱分化は、植物が傷ついた部分を修復したり、環境の変化に適応したりするために重要な役割を果たします。例えば、植物の茎を切断すると、切断面付近の細胞は脱分化し、細胞分裂を活発に行うことで、新たな組織を形成し傷を修復します。また、植物組織を栄養豊富な培地に移植すると、細胞は分裂して「カルス」と呼ばれる未分化の細胞塊を形成することがあります。カルスは様々な細胞に分化することができるため、植物のバイオテクノロジー分野において重要な役割を担っています。このように、植物は分化と脱分化を巧みに使い分けることで、厳しい環境を生き抜き、成長し続けることができるのです。