四倍体の魅力: より大きく、より力強い植物の世界
植物の細胞の核内には、遺伝情報が詰まった染色体と呼ばれる構造が存在します。人間を含め多くの生物と同様に、ほとんどの植物は二倍体であり、父方と母方からそれぞれ受け継いだ染色体を 2セット 持っています。
しかし、自然界では、そして人工的な処理によっても、染色体数が2倍になる現象が起こることがあります。これを倍数化といい、倍数化した植物を四倍体と呼びます。四倍体では、染色体は 4セット 存在することになります。
人工的に四倍体を作り出す方法として、コルヒチンという薬品を使った処理があります。コルヒチンは、細胞分裂の際に染色体が正常に分かれるのを阻害する働きがあります。その結果、細胞分裂後も染色体が細胞内に残り、染色体数が倍になった四倍体細胞が作られます。
四倍体植物は、二倍体に比べて細胞や器官が大きくなる傾向があり、花や果実も大きくなることがあります。そのため、農業分野では、より大きな収量を得るために四倍体植物が利用されることがあります。また、四倍体植物は、環境ストレスに対する耐性が高くなる場合もあり、厳しい環境下での栽培に適している可能性も秘めています。