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植物の不思議:胎座の役割
色鮮やかな花が咲き終わり、果実が実るまでの過程は、自然の神秘そのものです。私たちが普段何気なく口にしている果実の中には、たくさんの種子が詰まっています。では、この種子は一体どこで生まれてくるのでしょうか?その答えを紐解く鍵となるのが、「胎座」です。 「胎座」とは、植物の子房内にある、言わば種子のゆりかごと言える器官です。人間で例えるなら、母親の胎内で赤ちゃんを育む胎盤のような役割を担っています。受粉を終えた花粉から伸びた花粉管は、この胎座にたどり着き、種子のもととなる胚珠と受精します。そして、受精卵が細胞分裂を繰り返し、やがて種子へと成長していくのです。 胎座は、植物の種類によって形や位置が異なります。例えば、マメ科の植物では、子房の壁に沿って線状に胎座が並んでいます。一方、トマトやキュウリなどのウリ科植物では、子房の中心に太い柱状の胎座があり、その周りにたくさんの種子が作られます。このように、胎座の形や位置は、植物がどのように進化してきたかを物語る、重要な手がかりを与えてくれます。 普段はなかなか目にする機会のない胎座ですが、植物が世代を超えて命を繋いでいく上で、無くてはならない大切な器官です。果物を食べる時には、ぜひ種子の誕生を支える胎座の存在にも思いを馳せてみてください。 -
進化した植物:被子植物
植物の世界は実に多種多様であり、長い年月を経て進化してきた歴史は私たちを驚嘆させます。その中でも、種子を作る植物、すなわち種子植物は、大きく分けて被子植物と裸子植物の二つに分類されます。この分類は、どのようにして種子ができるのか、その過程の違いに着目したものです。 被子植物は、読んで字のごとく種子が子房と呼ばれる器官に包まれている植物です。私たちにとって身近な存在である花を咲かせることから顕花植物とも呼ばれ、果実をつけるものが多く見られます。花は、色や形、香りを駆使して虫や鳥を惹きつけ、花粉を運ばせる役割を担っています。また、果実は種子を保護し、風や動物によってより遠くへ種子を運ぶのに役立っています。 一方、裸子植物は、胚珠がむき出しになっている植物です。種子が子房に包まれておらず、風によって花粉を運んで受粉します。代表的なものとしては、松や杉、イチョウなどが挙げられます。これらの植物は、被子植物と比べて進化の過程で古い歴史を持つと考えられています。 このように、種子植物は被子植物と裸子植物に大別され、それぞれ異なる特徴を持っています。それぞれの植物が独自の進化を遂げ、多様な環境に適応してきたことを考えると、植物の世界は奥深く、興味深いものです。
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