植物の隠れた立役者:根圏微生物
- 植物の根を取り巻く賑わい
植物の根は、静かに土壌に根を張っているように見えて、実は活発な活動を繰り広げている場所です。
根は、土壌から植物の生育に必要な水や栄養分を吸収する器官として知られていますが、その役割は吸収だけにとどまりません。根は、光合成産物である糖やアミノ酸などの水溶性有機物を分泌しています。
さらに、根の細胞は常に新しく生まれ変わっており、古い細胞の一部は剥がれ落ちて土壌に放出されます。また、根の表面はムシゲルと呼ばれる粘性の高い有機物で覆われています。ムシゲルは、根から分泌される物質や剥がれ落ちた細胞、微生物によって作られます。
これらの水溶性有機物や剥がれ落ちた細胞、ムシゲルは、土壌中の微生物にとって格好の栄養源となります。
土壌微生物は、これらの有機物を利用して増殖し、様々な物質を土壌中に放出します。その中には、植物の生育を促進する物質や、病害を引き起こす微生物から植物を守る物質も含まれています。
このように、植物の根は、土壌微生物との複雑な相互作用を通じて、自身の生育だけでなく、土壌全体の環境にも大きな影響を与えているのです。