植物の回復力:カルスの役割とは?
- カルス植物の傷跡
庭いじりや鉢植えの世話をする際、剪定や植え替えなどで、植物に意図せず傷をつけてしまうことがありますよね。私たち人間や動物であれば、傷口からは出血しますが、植物は傷ついても出血することはありません。それは、傷口を塞ぐ特別な組織、「カルス」がすぐに作られるからです。
カルスは、傷ついた植物細胞が分裂を繰り返すことで作られます。この時、植物ホルモンの一種であるオーキシンが、カルスの形成を促す役割を担っています。カルスは、まるでかさぶたのように傷口を覆い、雨風や病原菌、害虫など、外部からの様々な脅威から植物の体を守る役割を担っています。
カルスの色は、白やクリーム色、茶色など様々で、植物の種類や環境によって異なります。また、カルスの表面は滑らかだったり、凹凸があったりと、その形状も様々です。カルスは、植物にとって傷を治すための重要な役割を担っているだけでなく、挿し木で新しい根や芽を出す際にも重要な役割を果たします。
私たちが植物を育て、剪定などを行う際には、植物が自らを守るためにカルスを作り出す力を持っていることを理解しておくことが大切です。そして、清潔な剪定ばさみを使うなど、植物への負担をできるだけ減らす工夫をすることで、植物が健やかに育つのを助けることができます。