花の秘密:距の魅力
庭いじりをしていると、色とりどりの花の姿に心惹かれますね。花びらの形や色の美しさはもちろんのこと、中には「距(きょ)」と呼ばれる、ちょっと変わった形をした部分を持つ花もあります。
距は、花びらの付け根あたりから後ろへ伸びた、空洞になっている突起のことです。この言葉はもともとニワトリの蹴爪を表す言葉でしたが、植物学では、この特徴的な形の花の一部を指す言葉として使われています。
花の後ろにちょこんと突き出した距は、まるで花がおしゃれなアクセサリーを身につけているようで、私たちを楽しませてくれます。しかし、この距には、ただ可愛いだけではない大切な役割があります。
距の中には、蜜がたっぷりと詰まっていることが多いのです。甘い蜜を求めて虫たちが花を訪れると、距の奥にある蜜を吸おうと、虫たちは長い口を奥深くまで差し込みます。この時、虫たちの体には花粉がしっかりと付着します。
こうして、蜜を吸いに来た虫たちの手助けによって、花は受粉することができるのです。つまり距は、植物が子孫を残すための、重要な役割を担っていると言えるでしょう。