土を耕さない!?不耕起栽培のススメ
- 不耕起栽培とは不耕起栽培とは、読んで字のごとく、土を耕すことなく作物を育てる栽培方法です。従来の農業では、種まきや苗植えの前に土を耕す作業が当たり前のように行われてきました。しかし、不耕起栽培ではこの工程を省くことが最大の特徴です。一見すると、土を耕さないことで植物が育ちにくいように思えるかもしれません。しかし、不耕起栽培には多くのメリットがあることから、近年注目を集めているのです。従来の農業では、土を耕すことで土壌に空気を含ませ、水はけを良くし、雑草を取り除く効果を狙ってきました。しかし、この耕すという行為自体が、土壌に住む微生物の生態系を壊してしまうという側面も持ち合わせています。土壌中の微生物は、植物の生育に欠かせない栄養分を作り出す役割を担っています。耕すことで微生物のバランスが崩れると、土壌の栄養バランスも乱れ、結果として植物の生育に悪影響を与える可能性もあるのです。一方、不耕起栽培では土を耕さないため、土壌中の微生物の生態系を守りながら作物を育てることができます。微生物の活動が活発になると、土壌の団粒構造が形成されやすくなり、水はけや通気性がよくなります。また、微生物が生成する栄養分を植物が効率よく吸収できるようになり、結果として健康な作物を育てることにつながります。さらに、耕す手間が省けるため、労力の軽減にもつながります。これは、高齢化が進む日本の農業において大きなメリットと言えるでしょう。このように、不耕起栽培は、環境への負荷を低減し、持続可能な農業を実現する上でも重要な役割を担うと考えられています。