発芽の鍵!小さな巨人「胚乳」の秘密
花々が咲き乱れる季節、色とりどりの花が私たちの目を楽しませてくれます。そして、花が散った後には、新しい命を宿した実が顔を出します。その実の中には、次の世代へと命をつなぐ、小さな種子が隠されています。
一見、硬くて何もないように見える種子ですが、その中には、発芽という神秘的な現象を起こすための、驚くべき仕組みが隠されているのです。
種の中心部をよく観察すると、小さな粒のようなものを見つけることができます。これが「胚乳」と呼ばれる部分で、発芽に必要な栄養がぎゅっと詰まった、いわばお弁当箱のようなものです。
種子が土の中で水や空気、そして太陽の光を浴びると、眠っていた種子は目を覚まし、発芽を始めます。この時、胚乳に蓄えられた栄養が、根を伸ばし、茎を伸ばし、葉を広げるためのエネルギー源となるのです。
胚乳には、大きく分けて、デンプン、タンパク質、脂肪の3つの栄養素が含まれています。デンプンは、植物が成長するためのエネルギー源となり、タンパク質は、新しい細胞を作るための材料となり、脂肪は、ゆっくりと時間をかけてエネルギーを供給する役割を担っています。
まるで母親のお腹の中で大切に守られているかのように、種子は胚乳という栄養の宝庫によって守られ、やがて芽を出す時を静かに待っているのです。